鼠径ヘルニアとは
鼠径ヘルニアとは足のつけ根から恥骨にかけての鼠径(そけい)部の筋膜が破れ、腸など内臓の一部が皮下に飛び出す病気です。いわゆる脱腸で、外科の病気では虫垂炎(盲腸)とともに発症の頻度が高いものとされています。加齢により筋膜がゆるむ中年以降に発症することが多く、9割近くは男性です。放置すると穴が少しずつ大きくなり、根治のためには筋膜の穴を塞ぐ手術が必要となります。
当院の手術方法
当院ではクーゲル法と腹腔鏡下手術の両方の手術方法をヘルニア専門の医師が行っています。ヘルニアの状態に応じて適した手術方法を選択しています。腹腔鏡下手術の場合は開腹しないために痛みが少なく、働き盛りの青壮年の患者さまや傷が小さいため女性にもお勧めです。ただ全身麻酔が必要となるので、80〜90歳代の高齢者や基礎疾患がある患者さんにはクーゲル法をお勧めしています。
腹腔鏡下手術
おなかに小さな穴を開けて腹腔鏡を差し入れ、モニターでおなかの中の状況を確認しながら、他に開けた穴から差し込んだ手術器具を使ってメッシュを腹膜と筋膜の間に入れていく手術法です。全身麻酔なので眠っている間に手術が終わりますし、傷はそれぞれ5mm程度で切開する部分が小さいため、クーゲル法よりも痛みが少ない手術方法でより早期に社会復帰が可能です。手術時間は平均で40分〜50分程度です。
クーゲル法
クーゲル法は皮膚を切開して、筋膜と腹膜の間に形状記憶メッシュを挿入していく手術法です。神経や血管、精管(女性では子宮円靭帯)がある鼠径管を切開しないため、神経損傷などの合併症が少ない利点があります。メッシュが腹壁を支えるため、異物感が少ないという利点があり、従来のメッシュの欠点であったズレやたるみが少なくて済みます。手術時間は15分~20分程度です。
手術後
腹腔鏡手術、クーゲル法は溶ける糸を用い、皮膚切開部は特殊な生体用瞬間接着剤やテープで固定しますので抜糸や消毒などの必要はありません。手術の翌日からシャワー、翌々日からは入浴も可能です。手術から数日以内に再診に来ていただき、術後の状態を確認します。再来院が難しい方は、術後に電話やメールで術後経過の確認を行います。激しい運動は2週間程度控えてもらいます。
院長小田斉
1983年九州大学医学部卒業。1992年から2年間米国アルバート・アインシュタイン医科大学の肝臓研究所に留学。佐田病院で外科医長を務め、その後2007年開業。鼠経ヘルニア、手掌多汗症、下肢静脈瘤、胆石症、イボ痔、きれ痔、痔ろうといった痔疾患などの症状に対する日帰り手術を専門に行っている。日本ヘルニア学会理事。
患者さんのお悩みに寄り添いながら
各種の日帰り手術を行っています
当院は鼠経ヘルニア、手掌多汗症、下肢静脈瘤、胆石症、イボ痔、きれ痔、痔ろうといった痔疾患などの症状に対する日帰り手術を専門に行っています。
親族に医師が多く、患者さんから頼りにされている姿を見てきて、子どもの頃から医師になりたいという想いが強くありました。自分の特性や「人を治すことができる」という面に魅力を感じて外科を専門にすることに決めました。日帰り手術について数多くの症例を担当し、同時に臨床経験を発表するなど研鑽を積み、その中で日帰り手術で行う鼠経ヘルニアや手掌多汗症の分野で研究と発表、臨床を積み重ねてきました。今でも新しい技術や情報の収集を怠らず臨床経験を重ね、患者さんが安心して手術を受けられるよう日々努めております。
外科と麻酔科の専門技術をもつ2人の先生と3人体制で力を合わせ、鼠経ヘルニア、下肢静脈瘤、手掌多汗症、痔疾患、胆石症の日帰り手術を行っています。それぞれのご病気でお悩みの方にはぜひ、その人に合った治療方法を一緒に考えていきたいと思っていますのでお気軽にご相談ください。
副院長沖野秀宣
1994年九州大学医学部卒業後、同大学病院で外科および麻酔科の研鑽を重ねる。2003年同大学大学院医学系学府修了。飯塚嘉穂病院、福岡ゆたか中央病院外科医長、うえの病院外科・麻酔科などを経て、2017年より現職。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、麻酔科標榜医。
身体的・精神的な負担の軽減に努め
チーム医療で「安心」の提供をめざします
大学病院時代に外科医としての修練を重ねながら、麻酔科標榜医の資格も取得し、当院では、お子さんからご高齢の方まで、下肢静脈瘤手術や痔をはじめすべての手術の麻酔を担当しております。
日帰り手術には、患者さんにとってさまざまなメリットがあります。まず入院の煩わしさがなく、時間の節約になること。多忙なビジネスパーソンや育児・介護などで忙しい方々にとって、日常生活の延長線上で、それも少ない拘束時間でその日に帰宅できるのは、日帰り手術の大きな利点といえます。早期の社会復帰も望めるでしょう。次に、当院ではできる限り傷が小さくなるような、低侵襲の手術法を採用しており、体の負担が少ないことが挙げられます。そして、これらは精神的な負担の軽減につながります。
手術後の経過には個人差がありますので、当院では手術後も患者さんお一人お一人の状態に応じて24時間緊急電話対応ができる体制をとっています。スタッフ全員で情報を共有し、一丸となってチーム医療を実践しますので、安心してご相談ください。
医療法人斉智会 おだクリニック日帰り手術外科
福岡市営地下鉄七隈線「渡辺通駅」から徒歩3分